●便通異常は自律神経失調症の一つ
「ストレス」があると、不安や緊張、あせり、怒り、悲しみといった感情があらわれます。
この感情が生み出される場所は「大脳辺縁系」と言うところです。
「大脳辺縁系」は「情動脳」ともいい、本能的な欲求、生理的な快感や不快感なども生まれます。
ちなみに感情をコントロールする理性や知性は、辺縁系をとりまく「大脳新皮質」で生まれます。
「大脳辺縁系」で生まれた感情や感覚は「大脳新皮質」によって調整を受けるとともに、
「視床下部」というところの働きに影響を与えます。
「視床下部」は体内環境のコントロールタワーともいえる役割を果たしているところです。
ここから延髄、脊髄を通る「自律神経」によって、心臓や血管、呼吸器、消化器、泌尿器、生殖器、汗腺、瞳孔、涙腺などに指令を伝えます。
自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があります。
「交感神経」は一般的にいって活動を促進するように働き、
「副交感神経」は活動を休ませるように働きます。
たとえば、呼吸や循環の機能は「交感神経」の作用によって、その働きが活発になります。
ところが、胃腸や膀胱は「交感神経」によらず、
「副交感神経」の作用によって、その働きが活発になります。
仕事や運動をしているときは「交感神経」が活発になっていますから、
「消化吸収」や「排便・排尿」はおこりにくくなっているのが普通です。
しかし、ストレスなどによって視床下部からの指令に狂いが生じると、仕事中や運動中でも大腸や膀胱の動きが活発になることがあります。
これは「交感神経」と「副交感神経」が正常に動かなくなったために起こります。
いわゆる「自律神経失調状態」です。
この状態では、胃腸だけでなく「自律神経」が支配する様々な器官において、
その動きが乱れます。
血圧の変動がみられたり、動悸やめまいなど、さまざまなことが起こりやすくなります。
しかし、脳と腸管には「脳腸相関」といって、ほかの臓器よりもとくに密接な関係を持っています。
腸管には脳と関連した神経管から発生している「腸管神経叢」というものがあり、
脳がストレスを感じると、その刺激が「腸管神経叢」に伝わり、腸管の運動や知覚などが
敏感に反応するのです。
そして、腸管が反応すると、今度はその刺激が逆ルートで脳に伝わります。
つまり、「ストレス」の刺激が腸管に伝わって下痢や便秘、腹痛などが起こると、
今度はそれらの症状が脳に「ストレス」を与えるという悪循環が始まります。
過敏性腸症候群の人の腸では、腸が敏感になっているため、
脳に対する刺激にも敏感です。
つまり、一般の人よりも敏感に「脳腸相関」が起こりやすいのです。
わずかなストレスに対して腸管が反応し、
便通異常や腹痛などの腹部症状が起こります。
「ストレス」がかかっている状態では、痛みを感じるレベルも敏感になり、ふつうなら中等度くらいに感じる痛みを強烈な痛みを感じてしまいます。
そして、その症状が原因で、抑うつや緊張、不安といった
精神的な症状が進んでしまうことが多く見られます。
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参考図書:
「過敏性腸症候群はここまで治る」
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